いろんな経験をして出会った場所
この自然の環境の中に身を置きたい。
いろんな経験をして出会った場所
この自然の環境の中に身を置きたい。
農業という仕事は、生きてる実感をくれた。
標高が高い富士町の中でも、少し登ったところに我が家と畑があります。
リビングの大きな窓からは、段々に広がる畑が一望できて、
これがお気に入りの景色です。ここ富士町へ移住したのは、2008年のこと。
福岡市内で生まれ育った私は、大学進学を機に関東へ行きました。
私が在学した慶應大学のSFC(湘南藤沢キャンパス)は、
先陣を切って大学改革に舵を切ったキャンパス。講師陣も豪華で、
充実したキャンパスライフを送りました。
4年生になり、同級生がIT業界やコンサルタント会社から内定をもらう中、
予備校時代の先生に言われた「人間はある程度の土地があれば生きていける」
という言葉が忘れられず農業の道へ進むことを決意しました。
そうして卒業後、福岡へ戻り有機農家に弟子入り。朝から晩まで外で働いて、
疲れ果てて食べるご飯はとにかくうまい。
夜はぐっすり眠りに落ちるという生活が心地良くて、本当に幸せでしたね。
「俺、生きてる!」って感じでした。
よく考え、よく学ぶ。畑はまるで教室みたい。
1年間の研修を終え、福岡県粕谷郡須恵町の農園で独り立ちしました。
2年間続けたころに「もっと、自然が豊かなところで農業がしたい」と思い、
知り合いの紹介で富士町へ来ました。
私の畑には雑草がよく生えています。雑草が根を張ることで、
土がふかふかになり野菜の根もよく張り、おいしい野菜が育ちます。
雑草もただの邪魔者ではないんですよ。
畑に遊びにきた葉物が好物な虫たちを見つければ、手で退けます。
そんな虫たちも土に還って、野菜を育てる養分になります。
循環する環境の中に身を置いていることを心地良く感じます。
福岡市内で生まれ、高校時代にはアメリカへ留学。その後は、関東に移り住み、
刺激的な学生生活を送りました。
いろんな景色を見てきた私がたどり着いたのが、ここ富士町。
畑や自然は、私にとって教室みたいなところなんです。
ここは、どう生きるかを考え、どう生きるかを教えてくれる場所です。
この暮らしと有機農家のおもしろさを伝えたい。
現在「NPO法人ムラーク」の副理事長も務めています。
NPO法人ムラークは、過疎化が進むこの地で、埋もれている地域の資源を活用し、
活動する団体です。この地域は、市町村合併で発言権が弱くなった過去があります。
自分たちのことは自分たちでやる!という想いを掲げ、仲間や賛同者、
移住者も少しずつ増えている状況です。
いわゆる二足のわらじを履いている現在。ひとつの視点ではなく、
多角的に物事を考えられるこのスタイルが、私にはしっくりきています。
移住者だからこそ見えること、様々な経験をしてきたから考えることがあります。
農業はもちろん、自然と共存する営みの素晴らしさを伝え、
持続可能な山間部の暮らしを実現させたいですね。
また、全国的に後継者不足が問題になっている農家たち。
しかし、有機農家たちは、後継者に困っていないというデータがあります。
きっと、お客さんの喜ぶ顔を直接見て商売できたり、
マニュアル通りじゃない栽培のスタイルから、
農業の楽しさを後継者に伝えられてるんでしょうね。
有機農家のおもしろさも、次世代に伝えていきたいと思っています。
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